医療創生大学

大学案内

学長告辞(平成31年度 入学式)
 
医療創生大学に入学された251名の皆様おめでとうございます。同時に、本日ご臨席の新入生の保護者の皆様にもお慶びを申し上げます。また本日ご繁忙の中、入学式にご臨席賜りました清水敏男いわき市長はじめ多数のご来賓の皆様に教職員を代表して厚く御礼申し上げます。
 
まず、本学の歴史についてご紹介いたします。本学はいわき市が大学誘致活動を行った結果、明星学苑が市の誘致にこたえ、いわき明星大学として昭和62年4月 理工学部、人文学部の2学部で発足しました。理工学部は科学技術学部に改組、人文学部は教養学部に改組するなどの改革を行い、平成19年に6年制薬学部を、平成29年に看護学部を開設しました。

そして、大変残念ではありましたが科学技術学部ならびに教養学部の学生募集停止を行い、本年4月から健康医療科学部を新たに設置いたしました。と同時に現在の教育課程と教育資源に相応しい大学名称として、医療創生大学に生まれ変わりました。
 
新生医療創生大学の教育理念は、「科学的根拠(サイエンス)に基づいた術(アート)を備えた慈愛(ハート)のある医療人の創生」です。すなわち、知識、技能、態度の三拍子がそろった医療人を養成することです。

創生という言葉は、社会制度や社会構造に関する用語として使われることが多いのですが、いってみれば教育は人材の創生でもあります。新時代に貢献できる医療人を創生することが本学の目的であることを改めて心得ていただきたいと思います。
 
さる3月21日、いわき明星大学として最後の学位授与式(卒業式)が執り行われましたが、その際私は学長告辞として、「確かなものなどない。あったとしても永続からほど遠いもの、あるいは単なる錯誤であるとするならば、不確実性が増加、拡大する現代社会の中で、競争に身をさらして、自分の強みを見つけていただくことをぜひ卒業生諸君へお願いしたいと思います」と申し上げました。

社会的不確実性にはルーティンの限界が伴います。ルーティンとはラグビーの五郎丸選手がキックの前に行う一連の準備行動を指して報道されたのでお分かりだと思いますが、決まった手順、お決まりの所作を意味します。つまりルーティンの限界とは、成功した定石がいつまで有効なのかはっきりしないという不確実性が存在することであると理解してください。

堅苦しく申し上げれば、段階的な熟練化がその途中で中断され自己修正の連続が行為者に要求されることでもあります。
 
ある認知科学的研究によれば、熟練した専門家の知識構造はほぼ七つの項目にまとめられるそうです。一つ目は領域固定性、二つ目は意味あるパターンの抽出能力、三つ目は処理の速度、四つ目は記憶の優位性、五つ目は問題表象の深さ、六つ目は問題の質的分析、そして最後の七つ目が自省能力(自らを省みる力)です。七つの項目の詳細の説明は省略しますが、最も重要な項目は七つ目の自省能力だと思います。自省能力とは、自己の失敗に関して敏感であると同時に、その原因を理解しようとすることに他なりません。

今、熟練とか熟練化という言葉を用いましたが、熟練を学修という言葉に置き換えることもできます。となると学修に必要なことは自省能力、振り返りであり、ルーティンに終始するあるいは定石にだけ頼っていては限界があります。小学校から始まって、大学においても勿論ルーティンや定石に相当することをまず学修する訳ですが、同時に常に自省し、振り返って軌道を修正する習慣を身につけていただきたい。これこそが教育基本法にも謳われている生涯学習に繋がり、ひいては知の循環型社会の構築にも貢献できるのではないでしょうか。
 
どんな職業、仕事であっても自省能力、自己修正能力が要求されますが、人の健康や生命に結びつく医療職にはとりわけ強く求められます。

本日入学した学部生247名、大学院生4名、併せて251名の皆様、皆様方は医療創生大学として大変晴れがましい第一期の入学生です。5月には令和と改元される新年号のもと有意義な4年または6年間の大学生活を新しく生まれ変わった医療創生大学で過ごしてください。本日はおめでとうございます。
 
平成31年4月6日
医療創生大学学長
山崎洋次