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化学反応前後の流体の物性値では予測できない流動を引き起こす新たな反応メカニズムを発見【今日の大学】
2023.07.20 10:00
本学薬学部の飯島淳講師が所属する、共同研究チームによる研究の成果が、英国王立化学会が発行するPhysical Chemistry Chemical Physics(電子版2023年3月17日付)に掲載されました。

 
化学反応前後の流体の物性値では予測できない流動を引き起こす
新たな反応メカニズムを発見
~分子を診る反応系流体力学研究の深化

本学薬学部の飯島淳講師、国立大学法人東京農工大学大学院生物システム応用科学府生物機能システム科学専攻 2021年度前期博士課程修了の平野紗愛さん、同大学院工学研究院応用化学部門の長津雄一郎教授、同大学院 グローバルイノベーション研究院の鈴木龍汰特任助教は、2019年に長津教授、飯島講師らが世界で初めて発見した化学反応前後の流体の物性値では予測できない流動を引き起こす新たな反応メカニズムを発見しました。

2019年の研究では、高分子水溶液と金属塩水溶液の化学反応により溶液の粘弾性が一時的に増加し、その後、それが消滅する流動を発見しました。これは一時的に、高い電荷をもつ金属塩と水分子が結合して形成した分子(アクア錯体)が主成分となり、高分子との静電気的な架橋によって見かけの分子量及び粘弾性が増加するが、その後、高分子の架橋サイトが消失することで、見かけの分子量及び粘弾性が減少していました。今回の発見では、粘弾性の一時的な増加は前報と同様のメカニズムで生じますが、その後の粘弾性の減少は、金属塩のアクア錯体から高分子への架橋が消失することで引き起こる場合があることを明らかにしました。本研究は、化学反応前後の流体の物性値では予測できない流動を引き起こす条件の包括的な理解につながり、マクロな流動の理解にミクロな分子構造変化の解明が必要となる分子を診る反応系流体力学研究を深化させるものです。

◎詳細は プレスリリースをご覧ください。