理学療法学科1期生 Nakamura クロストーク
2019年本校に着任。専門は神経理学療法。
青森県立八戸高等学校卒業後、2019年本学に入学し、2023年3月に卒業。理学療法学科1期生。
理学療法士としての仕事を通して
佐藤:本学では今年の3月に初めて卒業生を輩出しました。中村さんは健康医療科学部の1期生で、4月から理学療法士として働いていますね。
中村:はい。現在は福島県郡山市にある総合南東北病院で働いています。外科班に配属され、主に周術期の患者様にリハビリを行っています。
佐藤:総合南東北病院は本学部の臨床実習施設としてご協力いただいていて、日頃の理学療法教育に大変お世話になっている病院です。4月より本学科から複数名入職させてもらっていますが、中村さんは外科班で、周術期のリハに関わっているということですね。入職してまだ数ヶ月ですが、仕事内容や、その感想などを教えて下さい。
中村:入社して始めの1週間は、新入社員全体での研修とリハビリテーション科での研修を行いました。研修が終わり、4月中は、実習の延長のような形で、プリセプターの方や先輩方と一緒に患者様を診ました。5月の連休終わりから担当患者様を持ち始め、現在は一日あたり5〜8人の患者様へリハビリテーションを提供しています。
私が配属された病棟では大腸がんや乳がん、膵・胆管手術、陽子線前のスペーサー形成など周術期のリハビリ処方が多いため、主にそのような患者様に対してリハビリを行っています。「がん」は実習で触れたことがない領域だったため、不安が多かったです。ですが、分からないことは先輩方が教えてくれるので、日々学びながら、頑張ることが出来ています。
大学での学んだことと生涯学習の必要性
佐藤:まだ入職して間もない時期ではありますが、非常に多くの経験を重ねているようで驚きました。学生の時に経験してきた臨床実習とは異なり、「理学療法士」の免許を持って、プロとして患者さんに理学療法を提供していくことになります。いわゆる「1人前」の理学療法士を目標に、病院の体系化された卒後教育のシステムの中で段階的に経験を重ねているものと思いますが、やはり卒業後の学修の重要さを感じているのではないかと思います。特に「がん」は、学外実習でも触れなかったとのことですが、大学での4年間の学修を通して、役に立ってこと、身について良かったことなどありますか?
中村:卒業研究において、文献検索や抄読をしたことで、「文献を読む力」が身につき良かったと感じます。卒業研究では、PICO※1に沿って臨床的疑問を定式化させることがEBPT※2を提供するために必要であることを学びました。臨床では、「がん」の患者様の経過や治療、リハビリ等について、文献で調べる事が出来ています。まだ、多くの文献は読むことが出来ていませんが、今後も文献検索を通して、多くのことを学んで行けたらと思います。
佐藤:なるほど。1年生から4年生の卒業研究まで、段階的に研究について勉強してきましたが、そこで学んだことが、実際の臨床の場で役立っているということですね。
充実した新生活
佐藤:病院で働く中で、臨床での業務を行いながら、卒後教育など勉強をしたり、職場の行事があったりと、いろいろあるものと思いますが、新生活はどうですか?
中村:病欠で迷惑を掛けないよう、また勤務中の集中力が途切れないように、今まで以上に睡眠や健康管理に気をつけるようになりました。疲れて早く寝てしまうのもありますが(笑)。あとは、お給料で家賃や生活費のやり繰りをするのに慣れていなかったので、4、5月の給料日前はドキドキしていました。今は、やり繰りに慣れてきて、給料日は、仕事のモチベーションの一部になっています! 同期や部署の飲み会もあり、仕事から離れての交流も楽しむことが出来ています。
佐藤:初めてのお給料はドキドキで嬉しいものですよね。仕事を頑張ることも大事ですが、それ以外に、同じ職場とスタッフとの交流も楽しめているようで、充実した社会人生活を送れていることが伝わってきます。
中村:とても充実した日々を過ごせています。これからも仕事とプライベートも充実させていきたいです!
理想の理学療法士に向けて
佐藤:充実している生活を送れていることを知ることができて、大変嬉しく思っています。中村さんは大学生の時から色々頑張っている様子が見られて、在籍時もインタビューさせてもらいました。(理学療法学科公式Youtubeチャンネルで公開中)そこでは理想とする理学療法士像についてお話しいただきましたが、今実際に理学療法士になってみてどうですか?
中村:私は、探究心と思いやりを持ち続ける理学療法士を理想としていました。実際に働くようになって、わからない事は先輩に聞いたり調べたりする事ができていますし、患者様に接するときは常に思いやりを持って対応できていると思います。
佐藤:理想とする理学療法士に向けて、日々頑張っているわけですね。今感じている課題などはありますか?
中村:課題は幾つもありますが、最近特に感じていることは「限られた時間の中で患者様への支援をすること」の難しさです。急性期病院ということもあり、短い時間の中で、患者様の病態を把握したり、退院後の生活をイメージしたりして治療方針を考えなければなりません。患者様が退院される度に、自分が出来ることをしっかり行えたのかと振り返る日々です。現在は、先輩方から多くのアドバイスをもらいながら自分なりに考えて患者様に介入しています。今後も、患者様に適切な介入ができる理学療法士になれるよう、常に学ぶ姿勢を大切にしながら実践を積み重ねていきたいと思います。
佐藤:そうですね!日々仕事をこなすだけではなく、自分が行ったことを振り返ってみるということはとても大事だと思います。引き続き、中村さんが理想とする理学療法士像を目指して頑張ってください。数年後には達成できている姿が目に浮かびます!そんな中村さんから、最後に大学の後輩や、これから理学療法士を目指す高校生にメッセージをもらえますか?
中村:私の高校時代は、部活動に明け暮れ、レベルの高い授業についていけず、どちらかといえば勉強は苦痛でした。理学療法士になりたいと思ったきっかけは突然で、それまで具体的な将来の夢が無かった私は、高校三年生になってようやく勉強に本腰を入れました(笑)こんな高校時代を送った私ですが、「大学の勉強は将来の夢に直結するはず」「高校は勉強のスタートに失敗したから、大学では頑張ろう」「絶対に勉強し続けて理学療法士になる」と決心し大学生活を送ってきました。自分にとってのモチベーションは“夢”の存在でした。理学療法士になった今、素敵な職業だなと思うことが多々あります。ただ、モチベーションや夢を維持するといっても、そのモチベーションが下がったり、夢について悩んだりする時もあるかと思います。そんな時は、先生方の力を借りたり、友人と支え合えば乗り越えていけるのではないかと思います。大変なこともあるかと思いますが、陰ながら応援しています。
佐藤:大学生活からは想像できなかった一面を最後に知ることができました!本日は、ありがとうございました。
対談日:2023年6月