WEB NOVEL きんいろのカタツムリ メイキング

地域で活躍できる人材を育成するために、いわき明星大学に教養学部が誕生する。未来を担う高校生にこのメッセージを伝えるために、アニメCMとWEBノベルが企画されました。等身大の主人公の大学生活を物語にして、これから大学をめざす皆さんを応援しようという試みです。

「黒子のバスケ」「ハイキュー!!」「攻殻機動隊」シリーズなど、数多くのアニメーション制作を手掛ける映像制作会社「プロダクション I.G」による本格アニメCM制作はもちろん、WEBノベルというカタチでのオリジナル小説の発表は本学としても大きな挑戦。このコンテンツ制作の裏側をご紹介します。

Making 1

WEBノベル(原作)

CMの原作となっているWEBノベル「きんいろのカタツムリ」は、「追い風ライダー」「自転車で遠くへ行きたい」など自転車をモチーフにした書籍で人気の米津一成さんによるオリジナル書き下ろし小説です。高校から大学、そして社会人…。大人に近づくにつれ強くなる将来への不安や、今の自分に対するジレンマ。そんなモヤモヤした思いを紗江というヒロインに投影して執筆がスタート。現役学生の皆さんへのインタビューも行われ、登場人物たちが実際にキャンパスで青春を過ごしているような魅力的な小説になりました。最後、紗江が出した「自分なりの答え」。皆さんにはどのように映るでしょうか。

Making 2

CM企画・コピー

CMはたった15秒のメッセージ。それをアニメで表現するという企画を採用したのは、高校生にストレートに伝わる旬の表現手法からです。また美術系を除けば大学の広告でアニメCMが採用された例がないのも大きな理由でした。主人公紗江の成長に重ねたモノローグで希望に満ちたコピーを書いたのはコピーライターの鎌田高広さん。CM・映像ディレクターの及川謙一さんが企画コンテを起こして「ダイジェスト編」「走る四季編」2バージョンの制作がスタートしました。

Making 3

キャラクターデザイン

キャラクターはアニメCMの魅力を左右する最も重要な要素です。いわき明星大学が舞台のストーリーを織りなす登場人物は、まず小説の原作者米津一成さんによって生み出されました。アニメ化にあたってはアニメーターの頂真司さんがキャラクターデザインを担当。肩や顔の曲線をわずかに変えるだけで性格が違って見えるデリケートな調整が何度も行われ、個性豊かな8人のキャラクターが誕生しました。

Making 4

絵コンテ・レイアウト

CMの詳細な設計図とも言えるアニメーション用の絵コンテは、及川謙一さんの企画コンテを基に起こしなおしました。企画コンテがシナリオ付きの構成イメージで、それを最終形に近いカタチで再構築したのが絵コンテです。キャラクターの動きやカメラワークに関する指定をアニメ制作ではレイアウトと呼びますが、レイアウトを加えられた絵コンテにアニメーションならではの表現が凝縮されています。

Making 5

原画(作画)

原画は、展開するシーンの動き始めや動き終わりなどの核となる絵で、絵コンテを基にカットごとに描かれます。今回のCMでは、15秒の中に約200枚の絵が描かれました。デジタル全盛の時代ですが、この原画を描く道具は鉛筆。繊細な感覚が求められる工程です。

Making 6

動画

原画と原画の間のコマを埋めるように描いて一連の動きをつけるのが動画です。原画をなぞるように清書され、動きを加えていきます。職人的な技術が求められる非常に手間のかかる工程です。ここで描画に使われる道具はやはり鉛筆ですが、できあがった動画は彩色しやすいようにスキャンされ、ここで初めてデジタルデータとなります。

Making 7

仕上げ(彩色)・背景

アニメの色彩は、ストーリーの世界観にあわせて設計されます。キャラクターデザインの段階からひとりひとりの肌や髪の色が細かく決められ、すべての絵に指定通りに彩色されます。背景はキャラクターが活き活きと演技するための舞台です。原画とは別にシーンごとの背景が描かれ、動画を基に塗り終わったペーンとデータとあわせて撮影されます。本学キャンパス内でのロケハン(事前の現地取材)は綿密に行われ、背景も美しくリアルに描かれています。CM中のひとコマがどこなのか、オープンキャンパスで見つけてみませんか?

Making 8

撮影・編集

セル画と呼ばれる透明シートに描かれた動画を一枚ずつカメラで撮影されていた従来の名残で「撮影」と呼ばれますが、動画がデジタルデータ化された現在では、完成した一枚一枚の「動画」と背景をソフトウェアに読み込んで"撮影(合成)"すること(「コンポジット」と呼ばれることもあります)でアニメーションが創られます。撮影が完了すると全編を繋げる編集が行われます。編集後はオールラッシュと呼ばれる制作スタッフでの上映会が行われ、アニメーションの再生や展開に不備がないかチェックして、いよいよ完成が近づきます。

Making 9

音楽

このCMのためのオリジナルBGMを作曲・制作したのは、バンド「WATER WATER CAMEL」のギタリストで、CM、Web等の音楽制作でも活躍されている田辺玄さん。前向きに歩き出す主人公紗江を応援するコンセプトで創られたメロディは、聴けば自然と元気になる素敵な楽曲として仕上がっています。ハミングが魅力の「ダイジェスト編」とフルートのソロが美しい「走る四季編」の2タイプのアレンジを聴き比べください。

Making 10

サウンドワーク

仕上がったアニメーションにBGMやセリフ、ナレーションを組み込んで完成です。紗江役の声優は、オーディションで選ばれた佐藤優香さん。専門学校デジタルアーツ仙台 声優科に在籍中の19歳です。初のアニメ作品ということで吹き替えの収録時は緊張が見られましたが、存在感のある声質で見事に同世代の紗江を演じきりました。