医療創生大学

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コロナ禍の看護活動

看護学部 看護学科  勅使河原 薫 客員准教授 WEB
 

 筆者は、2021年4月に本学に着任しました。その直前までは、某行政でコロナの電話相談の勤務をしていました。
 電話相談の対象者は、主に、発熱症状や呼吸症状がある方が、どのように対処したらよいか、受診または検査に関わることでした。そのほかに、家族や勤務先で濃厚感染者と接触した方や、家庭内や職場での消毒方法を聞く方などでした。ただし、電話相談ということで、なかには、緊急事態下で開店している飲食店、受診(検査)先の対応や行政への苦情などもありました。
 コロナの陽性者は、自宅療養、宿泊療養、病院入院の3通りの過ごし方があります。その方の症状や希望、環境などを総合的に判断して行政が決めます。自宅療養とは症状が軽症で、身の回りのことが自分でできる人が自宅で過ごすことをさします。自宅療養者には、一般的な自宅での過ごし方や、健康状態の異常時の対応などを伝えます。そして、希望者には、宅配便で、水やレトルト食品などが(その行政機関では)公費で送られます。

 自宅療養だけではないのですが、コロナの陽性者の生活の支援は、まさにナイチンゲールが「看護とは新鮮な空気、陽光、暖かさ、清潔、静寂さを適切に活用し、 食事を適切に選択し与えるなど、すべての病人の生命力の消耗を最小限にするよう適切に行うことである」といっているように、基本は環境を整えることでした。特に、新鮮な空気と食事とはコロナ禍で、人間をケアすることの重要点です。このように、医療の前に生活を整えることが看護の原点なのだと改めて気づかされたコロナの電話相談でした。

2021.09.13