公認心理師は、2017年に施行された日本で初めてとなる心理職の国家資格です。心理的なケアや支援がますます重要視される近年では、医療・福祉・教育・企業などさまざまなフィールドに活躍の場があります。
この記事では、公認心理師について高校生でも理解できるよう、以下5つの観点でわかりやすく丁寧に解説します。公認心理師について興味をお持ちの方には、本記事をブックマークやお気に入り登録し、繰り返し読んで理解を深めていただくことをおすすめします。
公認心理師の仕事内容とは?

公認心理師は、医療・福祉・教育の専門家などと連携し、心のケアを提供するスペシャリストです。たとえば、うつ病や不安障がいといった心の病に苦しむ方のサポートや、家庭や学校でのストレスに悩む子どもたちのカウンセリングなど、その活動範囲は多岐にわたります。
具体的には、以下のような仕事を行います。
さまざまな心理テストや面接などを通じてクライエント(相談者)の心理状態を評価し、適切な支援方法を検討します。たとえば、どのような考え方の特徴がうつ病や不安障害を引き起こしているか、発達の特性がどのような問題行動に繋がっているかなどを見立てます。
カウンセリングや心理療法を通じて、クライエントの心の問題にアプローチします。支援内容は、問題行動の改善や感情の安定、ストレスの軽減、心の病気からの回復などさまざまです。
クライエント本人だけでなく、その周囲の人々(家族、学校の教員、職場の上司や同僚など)に対しても心理的なアドバイスをしたり、対応方法について一緒に考えます。
医師・看護師・ソーシャルワーカーなど他の専門職と連携し、クライエントの心理的な問題をチームで解決する役割も担っています。たとえば病院では、精神科医と協力して治療計画を立てたり、患者さんのメンタルヘルスケアをチームで実施したりしています。
公認心理師の就職先は?

公認心理師は、医療・福祉・教育・企業など、多岐にわたるフィールドでその専門性を発揮しています。活躍の場を具体的に見ていきましょう。
病院やクリニックでは、患者さんの心理的サポートがとても重要です。特に精神科や心療内科では、公認心理師がカウンセリングや心理検査を行い、治療の一環として患者さんの心の健康をサポートしています。また、身体的な病気の患者さんに対しても、病気に伴う心理的な不安やストレスを和らげるために、心理ケアを行うことがあります。
心に傷を負った子どもたちや困難な状況にある家庭の支援を行います。子どもたちが安心して過ごせる環境を提供し、社会的適応に向けたサポートも行います。
いじめや不登校、進路に関する不安など、子どもが直面するさまざまな心の問題に対してカウンセリングを行います。また、保護者や教職員と連携し、子どもの心理的な問題を解決するためのサポートも行います。
メンタルヘルスが重視される現代の労働環境においても、公認心理師は重要な存在です。企業内のカウンセラーとして、労働者のストレス管理や職場環境の改善などに取り組みます。
司法領域で活躍する公認心理師もいます。主に犯罪加害者の心のケアや更生のための心理支援、また犯罪被害者の心のケアなどを行います。
公認心理師と臨床心理士の違いとは?

心理職には、公認心理師のほか、臨床心理士という資格もあります。どちらも心の健康を守る専門家ですが、資格の性質に大きな違いがあります。
まず公認心理師は、日本で唯一となる心理職の国家資格で、2017年に制定されました。厚生労働省が主導し、文字通り国によって認定がなされます。
一方、臨床心理士は、日本臨床心理士資格認定協会が認定する民間資格です。1988年に制定され、30年以上の歴史があります。国家資格ではないものの、心理職の中では非常に信頼性の高い資格とされています。
そのほか、資格の取得方法などにも、それぞれ特徴があります。もっと詳しく知りたい方は、以下の記事もあわせてご覧ください。
公認心理師の年収・給料はどのくらい?

公認心理師の年収について、厚生労働省による「公認心理師の活動状況等に関する調査」によると、「300万円以上400万円未満」が21.3%と最も多く、次いで「400万円以上500万円未満」が17.7%、「200万円以上300万円未満」が16.4%、「500万円以上600万円未満」が11.1%でした。
公認心理師の年収(2019年度)

年収を分野別で見ていくと、保健医療分野・福祉分野・教育分野では「300万円~400万円未満」の割合が最も高く、産業・労働分野では「400万円~500万円未満」、司法・犯罪分野では「500万円~600万円未満」の割合が最も高い数値を示していました。
また、大学や研究所に所属する公認心理師(大学教員や研究者など)の中には、「1000万円以上」を稼いでいることも示されています。
年収は、勤務先はもちろん、勤務する地域や役職などによっても異なります。もちろん、経験年数を積むことで、徐々に上がっていくものです。上記に示した年収は、あくまで目安として覚えておくとよいでしょう。
公認心理師になるには?資格の取り方を解説!

公認心理師になるためには、一定の教育課程を修了し、国家試験に合格する必要があります。資格を取得するまでのプロセスを、具体的に見ていきましょう。
公認心理師の資格取得をめざすには、まず「公認心理師養成カリキュラム」に対応している大学で、心理学全般にわたる知識の習得が必要です。多くの場合、心理学部や人間科学部などに進学し、4年間のカリキュラムを受講することになります。
大学卒業後は、2つの進路が選べます。
1つ目は、指定大学院に進学し、修士課程を修了するルートです。大学院ではより専門的な心理支援技術や研究を学び、実習を通じて実践スキルを身につけます。
2つ目は、大学卒業後に指定機関で実務経験(2年以上)を積むルートです。実際の現場で実務経験を積むことで、大学で学んだ理論と実践を結びつけます。
毎年3月初旬に実施される「公認心理師国家試験」を受験します。
合格発表は例年3月末に行われます。合格率は以下をご覧ください。
実施年 | 受験者数 | 合格者数 | 合格率 |
---|---|---|---|
2023年(第6回) | 2,020人 | 1,491人 | 73.8% |
2022年(第5回) | 33,296人 | 16,084人 | 48.3% |
2021年(第4回) | 21,055人 | 12,329人 | 58.6% |
2020年(第3回) | 13,629人 | 7,282人 | 53.4% |
2019年(第2回) | 16,949人 | 7,864人 | 46.4% |
2018年(第1回) | 36,103人 | 28,574人 | 79.1% |
心理学部について詳しく知りたい方はこちら
いかがでしたか。公認心理師について、なんとなくのイメージを持てたのではないでしょうか。
公認心理師に少しでも興味を持たれた方は、まず心理学を学べる学部(心理学部や人間科学部など)を有する4年制大学の資料請求をおすすめします。どの大学も各ホームページから無料で資料を請求できますので、気軽に情報収集を始めてみましょう。
ちなみに、この記事を書いた医療創生大学にも心理学部があります。「公認心理師養成カリキュラム」に対応したカリキュラム体系であることはもちろん、公認心理師の取得に対応した大学院も併設しています。資料請求は、以下よりお気軽にどうぞ。