医療創生大学

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看護学部生のための新型コロナ予防通信(4/16)
2020.04.16 14:00

4月16日(木) 今日のテーマ「公衆衛生学・疫学・保健統計学と看護学の架け橋」

全ては1854年
疫学の父と呼ばれるジョン・スノーは1854年に「汚染された井戸水を飲んでいる人は罹る」を発見し、感染源・感染経路の解明という疫学的手法により、生物学的要因(病原体など)が不明であっても、社会的要因、状況の観察から、感染症流行を止めました。現代の疫学研究も、本質的にはスノウの行動と変わりはありません。実に、ロベルト・コッホがコレラ菌を発見する30年も前の出来事です。
同じ1854年にクリミア戦争が勃発。そこで活躍した人こそ、ナイチンゲールです。同11月ナイチンゲールはスクタリに到達。そのクリミア戦争での体験から、ナイチンゲールは「コウモリの翼」とか「鶏の鶏冠」と呼ばれる、当時はまだ円グラフも棒グラフもなかった時代に円グラフを考案しました。このグラフにより病院内の不衛生(蔓延する感染症)が突き止められました。イギリスでは、ナイチンゲールを統計学の先駆者とし、1859年にイギリス王立統計学会の初の女性メンバーに選ばれました。
同じ時代、同じイギリスで、感染症対策の場面の中から、疫学と統計学(今でいうインフォグラフィックス)誕生したのです。
マクロとミクロ
疫学と統計学の共通点は何でしょうか。ともに集団というマクロを相手に健康事象や疾患の背景にある要因(原因)を焙り出していくのが疫学であり、その道具や発表ツールとして機能するのが統計学です。ジョン・スノーは前者を創作し、ナイチンゲールは後者を創生したともいえましょう。公衆衛生学の始まりが英国からというわれる所以です。公衆衛生学の父母が遺した真の遺産は、単なる理論や手法を超えたところにあります。「きちんと自分の頭で考え、行動し、それをみんなに分かり易く伝えているか」であり、「理由はよくわからんけど、効果があったらそれでOK!」と楽観的に捉えたという点です。
この新型コロナウイルス(COVID-19)も今後の展開が読めませんが、死神と恐れられたコレラの致死率は8割ほどだと報告されています。ミクロ的な発想ではなく、みんなの健康を皆で守ろうというマクロ的視点の公衆衛生学がコレラの脅威の中で見出されたことを忘れないでください。大丈夫! みんなで皆の健康を守りましょう。