医療創生大学いわきキャンパス

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薬剤師とサイエンス
2021.07.14 11:00
石川 暁志 講師

 日々、科学進歩と共に医薬品の進歩もますます早くなってきました。また、インターネットの普及により患者さんの知識の向上も感じられるようになってきました。これまで医療者の特権であった知識が、一般の方にも簡単に手に入るようになりました。それは医療知識の普及と言う意味において非常に良いことだと思います。難病を抱えた患者さんは自分の病気を真剣に調べています。そのため、ときとしてその知識の深さに驚かされることがあります。iPS細胞で自分の病気は治るのか?と言う質問を受けたことがあります。一方、デマと思われる情報を信じている患者さんもいます。糖尿病を治すことが出来る睡眠薬が欲しい、と言った具合です(現在のところそのような薬はありません)。患者さんに面と向かって間違っているともなかなか言えず、苦労することもあります。しかしながら、ときとして間違いを指摘せざるを得ない場面もあります。そのためには薬剤師は、薬についての正しい知識だけでなく、最新の科学の幅広い知識が必要です。また、ある日突然、mRNAワクチンを広く国民に投与するという時代が来たりします。常日頃からアンテナを張っていないと取り残されてしまいます。
 最近の薬剤師国家試験は難易度が高く、多くの学生さんが非常に苦労していることが分かります。国試勉強にかかりっきりになる気持ちも分かります。学生さんに申し上げたいのは国家試験勉強の傍ら是非、科学雑誌などを読んで幅広いサイエンスを修得して下さい。その包括的な知識は将来皆さんが新しい薬を理解するのに役に立つだけでなく、国家試験の役にも立ちます。卒業後は町の科学者として存分に活躍してください(もちろん世界の科学者でもいいですよ)。

 

<プロフィール>
石川 暁志 講師/博士(薬学)、薬剤師
北里大学薬学部卒。同大学大学院博士課程修了。薬剤師歴9.5年。旭神経内科リハビリテーション病院、株式会社川田薬局、関東学院大学非常勤講師などを経て現在、医療創生大学薬学部 講師。本学では臨床系薬学を指導する傍ら、基礎研究にも取り組んでいる。研究テーマは、有機リン系化合物分解酵素及びその産生菌Sphingobium fuliginisの遺伝学的解析。