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ポリ酸の合成環境がアニオン分子の構造と単離形態にまで影響することを発見【今日の大学】
2023.05.16 14:00
本学薬学部の飯島淳講師が所属する、共同研究チームによる研究の成果が、アメリカ化学会が発行するACS Omega(電子版2023年3月3日付)に掲載されました。

 
ポリ酸の合成環境がアニオン分子の構造と単離形態にまで影響することを発見
~ポリ酸の合成研究を新たなステージへ~

本学薬学部の飯島淳講師、東京工業大学の成毛治朗URA(現中央大学研究支援室URA)、東京農工大学大学院グローバルイノベーション研究院の鈴木龍汰特任助教らは、多くのサンドイッチ型希土類ポリ酸の構造を幾何学的に調べることで、これまで経験則に基づいていたポリ酸の合成において、カチオンや共存分子といった合成環境がポリ酸アニオン分子中のねじれや立体化学的反発に及ぼす影響を、体系的に明らかにしました。この影響はポリ酸の単離形態にも及ぶため、立体構造の作り分けを可能にすることも示しました。

これまでのポリ酸研究では、結晶化しやすいカチオンや共存分子をひとまず導入し、ポリ酸アニオン分子の構造制御は、結晶化後に構造が明らかになってから、後付けで説明を行うことが主流でした。本成果は、これまでのポリ酸アニオンの構造制御の常識に一石を投じるものであり、合成から構造制御を指向する新しいポリ酸合成へと導くものです。カチオンや共存分子のポリ酸アニオンへの影響を考慮して、ポリ酸アニオンの構造だけでなく、単離形態までも制御する新しい合成法の創出につながることが期待されます。