【海外活動レポート】総合医療学部 理学療法学科/大学院 生命理工学研究科・古川勉寛教授がマレーシアの大学にて招待ワークショップを実施。最先端テクノロジーの“罠”に警鐘を鳴らし、次世代を担う理学療法教育を指導
2026年9月7日、マレーシアのトゥンク・アブドゥル・ラーマン大学(UTAR)にて開催されたワークショップにおいて、本学の古川勉寛教授が招待講師(Invited Trainer)として招聘されました。本学(福島県いわき市)を拠点に行われている先進的な教育アプローチが、海を越えてアジアの理学療法教育の現場へ還元された、熱気あふれるワークショップの様子をご報告します。
テクノロジーの表面的な利用(Tech-Washing)の課題と、
本質的な科学的思考の重要性について語る古川教授
テクノロジーに流されない「真の臨床科学」の追求
リハビリテーション分野でAIなどのテクノロジー導入が進む中、機器の特性や生理学を深く理解せずに技術を利用してしまう「Tech-Washing」のリスクが世界的な課題となっています。 講義では、本学の臨床計量・実装科学研究室(LCIS)の概念モデル『LCIS Translational Model』を基盤とし、表面筋電図(sEMG)を正確に計測・解釈するための段階的アプローチを解説しました。単なる「機材の操作方法」にとどまらず、生体信号を意味のある臨床指標へと変換するための学術的根拠について、マレーシアの気鋭の教員・研究者たちと深い議論が交わされました。
生体信号の取得から臨床指標への変換プロセスを示す概念モデルの解説。論理的なアプローチに、多くの参加者が深い関心を寄せました
教育者同士の熱い対話。「データ探偵」をどう育てるか
講義に続く実技セッションでは、機器の使い方を学ぶだけでなく、「この現象を将来の学生にどう的確に教えるか(Teach-Back)」という教育者としての視点(Educator's Reflection)が大きなテーマとなりました。 古川教授は自ら参加者の輪の中に入り、計測データを鵜呑みにせず批判的に読み解く「データ探偵 (Data Detective)」の視点を実践的に指導。現地の大学教員や臨床家たちと、学生を指導する際の悩みや工夫について生の声が飛び交い、国境や教員という立場を超えて、同じ「次世代を育てる教育者」として共感し合う、活気と熱意に満ちた時間となりました。
参加者への実践的なハンズオン指導の様子。「この現象を未来の学生にどう教えるか」をテーマに活発な意見交換が行われました
アジアの医療教育への波及効果と、いわきキャンパスへの還元
今回のワークショップは、参加した現地の教員たちを通じて、マレーシアにおける未来の理学療法士たちの教育の質(エビデンス構築)を底上げする大きな波及効果をもたらします。この国際的な学術・教育貢献が高く評価され、UTARより感謝状(Certificate of Appreciation)が授与されました。 将来、医療専門職を目指す高校生や、より高度な学問を志す学生にとって、先進的なサイエンスとグローバルな視野に触れることは極めて重要です。医療創生大学では、今回のような教員の国際的な最前線での教育・研究活動のネットワークを、いわきキャンパスでの日々の学びにダイレクトに還元しています。本学はこれからも、確かな研究基盤と人間味あふれる教育を通じて、地域社会から国際社会まで広く貢献できる次世代の育成に邁進してまいります。
ワークショップに参加した現地の教員・臨床家の方々との笑顔の記念撮影。教育への情熱を通じた強い絆が生まれました
UTARより授与された感謝状(Certificate of Appreciation)。
本学の教育アプローチが国際的に高く評価された証です