薬剤師は、処方せんに基づき薬を調合するだけでなく、薬の効果や副作用などに精通する「薬のプロフェッショナル」として、患者さんや医療従事者に対し適切な薬の使い方などの情報提供を行います。病院や調剤薬局、ドラッグストアの薬剤師のほか、保健所職員や麻薬取締官といった行政機関、さらに製薬会社の研究職やMR（医療情報担当者）、治験コーディネーターなど、活躍の場の広さも魅力のひとつです。
病院の薬剤師は、チーム医療の一員として、入院中や外来の患者さんの薬物治療全般に関わります。調剤薬局の薬剤師は、処方せんに基づく調剤のほか、薬の飲み方を指導する服薬指導、重複投与や副作用を防ぐための薬歴管理などに携わります。ドラッグストアの薬剤師は、一般医薬品の購入にきたお客さまに対し、薬や健康に関する質問や相談に応じるとともに、適切な医薬品の提供や服薬指導を行います。
患者さんにとって最も身近な存在として、診療や治療の補助、療養生活の援助、患者さんの心のケアなど幅広い業務に携わります。高齢化や生活習慣病予防への関心の高まりなどを背景に、訪問看護ステーションや老人保健・福祉施設など、医療機関以外にも活躍の場が広がっています。現場での経験をベースに、より専門性の高い分野で質の高い看護ケアを提供する「専門看護師」や「認定看護師」をめざすことも可能です。
病気の経過やこれまでの病歴、生活への影響などを患者さんから聴取する問診、点滴や注射などの医療行為、入院中の患者さんへの与薬や食事・排尿時の補助、脈拍や血圧、体温などの測定、立ち座りが困難な患者さんの移送、あおむけやうつぶせなどの体位交換が困難な患者さんのサポートなど、仕事の内容は多岐にわたります。患者さんだけでなく、患者さんの家族への連絡やケアを行うこともあります。また、多職種連携が要となる「チーム医療」においては、患者さんやその家族を最も理解している立場として、調整役を担います。
保健師は、病気の予防や健康増進などを目的に、地域に住む住民の保健指導や生活指導、健康管理、乳幼児検診などを行います。地域の保健所や保健センターで地域住民のこころとからだの健康を支える「行政保健師」、企業の健康管理担当者として従業員のこころとからだのケアに取り組む「産業保健師」、学校に勤務し児童・生徒や教職員の健康を支える「学校保健師」など、さまざまな活躍の場があります。
保健所などに勤務する行政保健師は、高血圧や糖尿病などの生活習慣病を予防するための教室の開催、たばこ対策としての喫煙者への保健指導、母子保健対策としての乳幼児健康診査や両親学級の実施など、乳幼児から高齢者まですべての住民を対象にさまざまな保健サービスを提供しています。健康なまちづくりに向けた施策の企画、立案、実施など、自治体における総合的な健康政策にも関わっています。
病気やケガ、心の病などにより、着替えやトイレ、食事といった日常的な作業が困難になった方を対象に、日常生活に必要な能力を高める訓練や指導を行うのが作業療法士です。日常生活を不自由なく送れるようになるための支援にとどまらず、仕事や遊びなど人間らしい活動ができるようになることを視野に、治療や援助を行うのが特徴。「からだ」と「こころ」の両面からリハビリを行うプロフェッショナルです。
食事やトイレなどの日常の動作の訓練のほか、患者さんの趣味や嗜好に合わせ、手工芸や芸術活動、遊びやスポーツといった動作も取り入れながら、「機能」や「能力」の改善に取り組みます。また、就労や就学、地域活動への参加などで不便が出ないように、具体的な生活に沿った内容の訓練や指導を行います。スムーズに生活できる環境づくりのため、住環境の整備や福祉用具の利用についてもアドバイスします。
病気やケガ、老化、過度の運動などが原因で身体に障がいのある方に対し、理学療法を用いて、基本的動作能力の回復・維持をサポートします。筋力の強化や関節の動きを調整する「運動療法」、温熱・電気などの「物理療法」を用いて、機能回復を目的としたリハビリを実施します。最近では、スポーツ選手のケガ予防やパフォーマンスの向上に取り組むトレーナーとしての活動も注目を集めています。
筋力などの検査結果をもとに患者さんの障がいの状況を評価、他の診療部門からのさまざまな情報も加えて理学療法の目標を立て、リハビリのプログラムを作成します。「起き上がる」「座る」「歩く」「手を挙げる」といった基本動作について、トレーニングや運動療法、物理療法、マッサージなど、患者さんの機能回復を目的としたリハビリを実施。住宅環境などの整備のためのアドバイスも行います。
公認心理師（国家資格）・臨床心理士は、こころの問題から引き起こされた身体の不調や生活上の困難に対し、「こころの専門家」として心理学的な方法を用いてサポートを行う専門的な資格です。スクールカウンセラーとして活躍するためにも、必要な資格となります。学校などの教育機関の他にも、医療機関の精神科や心療内科、精神保健センター、児童相談所や女性相談センターなどの福祉施設、一般企業、家庭裁判所や刑務所、少年院などの司法関係など、幅広いフィールドでの活躍が期待されます。
面接や観察、心理検査の結果を基に、さまざまな心理療法から適切な方法を選択し、相談者にあった心理支援を行います。相談者の抱える問題によっては、相談者以外の関係者に対して助言や援助を行うこともあります。ストレスの解消法や良好な人間関係を築くための方法など、メンタルヘルスに関する情報発信を行い、問題を未然に防ぐことも公認心理師や臨床心理士の仕事の一つとなっています。
