作業療法士の給料・年収は?看護師など他職種との給与も比較!
高校生の進路選択において、「この学部・学科に進めば、どんな仕事に就けるのか?」がまず気になるポイントでしょう。そして、それと同じくらいの関心事が、給与・年収かもしれません。
そこで本記事では、リハビリ専門職のひとつである「作業療法士」の給与・年収を見ていきたいと思います。平均年収、他職種との比較、給料を上げる方法の3点について、わかりやすく解説を進めていきます。
作業療法士の平均年収は432万5200円!
作業療法士の平均給与額について、厚生労働省が公開している「賃金構造基本統計調査」を参考にすると、以下のとおりです。
▼作業療法士の平均給与
月収 |
賞与(年間) |
年収 |
30万900円 |
71万4400円 |
432万5200円 |
※出典:厚生労働省「令和5年賃金構造基本統計調査」
上記の金額は、職歴や年齢を問わず、作業療法士として活躍されている方全体の平均です。当然、社会に出て間もないときの給料は、もう少し低めになります。逆にベテランの作業療法士は、上記の平均を上回る稼ぎを手にしている可能性が高いといえるでしょう。
参考までに、日本国内の全産業における平均年収は、460万円という統計結果が出ています(※)。平均年収で見ると、一般のサラリーマンに比べて作業療法士のほうが少し低くなっていますが、基本給・手当・賞与などは就業先によって異なるものです。あくまで参考程度にご理解ください。※出典:国税庁「令和5年分 民間給与実態統計調査」
よりわかりやすいように、以下で男女別・年齢別・事業所規模別に分けてまとめてみましたので、ぜひご覧ください。
作業療法士の平均給与【男女別】
▼作業療法士の平均給与 【男女別】
性別 |
月収 |
賞与(年間) |
年収 |
男性 |
31万5,300円 |
73万7,400円 |
452万1,000円 |
女性 |
28万4,000円 |
68万7,100円 |
409万5,100円 |
※出典:厚生労働省「令和5年賃金構造基本統計調査」
こちらの図表を見ると、女性に比べ男性のほうが高年収であることがわかります。これは女性が出産等で一時的に職場を離れることがあるため、と考えられるでしょう。管理職への昇格も現状では男性のほうが多いため、このような結果になっていると思われます。
作業療法士の平均給与【年齢別】
※出典:厚生労働省「令和5年賃金構造基本統計調査」
年齢とともに給与額がアップしていることがわかります。他職種同様、経験を積み、知識・技術を身につけていくことで、定期的な昇給が叶います。
また、定年後も働き続けている作業療法士が一定数いることも、上のグラフから見てとれます。高齢化が加速するなか、歳を重ねても活躍できる専門職といえるでしょう。
作業療法士の平均給与【事業所規模別】
▼作業療法士の平均給与 【事業所規模別】
事業所規模 |
月収 |
賞与(年間) |
年収 |
1000人以上 |
28万2,000円 |
84万2,800円 |
422万6,800円 |
100人~999人 |
29万0,000円 |
69万4,000円 |
417万4,000円 |
10~99人 |
30万3,700円 |
56万3,600円 |
420万8,000円 |
※出典:厚生労働省「令和5年賃金構造基本統計調査」
意外なことに、事業所規模が小さいほど平均月収が高くなることがわかりました。1000人以上の事業所の場合、賞与の支給額が多く、年収で見ると最も高い傾向にありますが、「規模の大きい病院(施設)だから給料が良い」…と一概に言うことはできないかもしれません。
作業療法士と他職種の給料を比較!
ここでは、作業療法士と関連する他職種の平均給与額を比較してみました。以下の図表をご覧ください。
職種 |
月収 |
賞与(年間) |
年収 |
薬剤師 |
41万7,500円 |
76万8,700円 |
577万8,700円 |
看護師 |
35万2,100円 |
85万6,500円 |
508万1,700円 |
保健師 |
31万2,900円 |
75万5,700円 |
451万0,500円 |
作業療法士
理学療法士
言語聴覚士
視能訓練士
|
30万0,900円 |
71万4,400円 |
432万5,200円 |
介護支援専門員
(ケアマネージャー)
|
29万7,100円 |
65万1,000円 |
421万6,200円 |
保育士 |
27万1,400円 |
71万2,200円 |
396万9,000円 |
介護職員 |
26万3,600円 |
55万0,800円 |
371万4,000円 |
※出典:厚生労働省「令和5年賃金構造基本統計調査」
同じリハビリ専門職である理学療法士や言語聴覚士なども、給与額は同等程度ということがわかりますね。前項でもお伝えしたように、基本給・手当・賞与などは就業先によって異なるものですから、あくまで参考程度としてご理解ください。
作業療法士として給料・年収を上げるためには?
ここでは、「どうすれば昇給につながるか?」について解説していきます。作業療法士が給料を上げるための方法を3つご紹介しますので、ご参考にしてください。
(1)就職した職場で経験を積む
就職した職場に長く勤めることで、「昇給がある」というメリットがあります。職場によって毎年昇給するケースもあれば、定期的ではないものの成果に応じてグンと昇給するケースもあります。いずれにしても職歴や経験値によって収入が年々アップしていくため、最も堅実なキャリア形成だといえるでしょう。
また、ひとつの職場に長く勤めることで、主任⇒係長⇒課長⇒部長…といずれ昇格のチャンスも訪れます。役職に就けば基本給がアップし、役職手当も支給され、賞与額もさらに増えるため、年収は一気に上がるでしょう。
もちろん、培った経験をいかして現状よりもさらに収入アップが期待できる職場へ「転職」する、という選択肢もあります。
(2)新たに資格を取得する
作業療法士の資格に加えて新たな資格の取得にチャレンジする、という選択肢もあります。たとえば、作業療法士として一定水準以上の能力を有することを証明する認定作業療法士という資格や、その上位資格にあたる専門作業療法士という資格を取得することで、より重要な役割を担うチャンスが出てきます。当然、収入アップにもつながるでしょう。
そのほか、同じリハビリ専門職である理学療法士や言語聴覚士、さらにはケアマネジャーや福祉住環境コーディネーターなどの資格を取得することで、より広範囲にわたる活躍フィールドがひらかれ、収入にも反映されることでしょう。
(3)独立・開業する
作業療法士としてのキャリアをいかして個人事業主(フリーランス)の道へ進んだり、整体院やデイサービス施設などを開業したりする道もあります。自ら経営を行うことになるため大幅な収入アップにつながる可能性を秘めていますが、成功する人はひと握りともいわれており、慎重に検討する必要があるキャリアです。
作業療法学科について詳しく知りたい方はこちら
いかがだったでしょう。作業療法士の給与について、なんとなくのイメージを持てたのではないでしょうか。
作業療法士という職業に少しでも興味を持たれた方は、まず「作業療法学科」を有する大学・短大・専門学校などの資料請求をおすすめします。どの養成施設も各ホームページから無料で資料を請求できますので、気軽にトライしてみてはいかがでしょう。
ちなみに、この記事を書いた医療創生大学にも作業療法学科があります。ぜひお気軽に、資料を請求いただければと思います。
また、作業療法士についてもっと詳しく知りたい方は、以下の記事もあわせてご覧ください。本記事の「給与」のほか、「仕事内容」「理学療法士との違い」「活躍場所」「将来性」「なり方」「国家試験」をわかりやすくまとめています。