医療創生大学いわきキャンパス

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身近なDDS医薬品としての新型コロナワクチン
2024.01.29 09:00
鵜川 真実 講師

Drug Delivery System (DDS) は、薬として作用する物質を、体の中の目的の部位に効率的に届ける技術です。

特にRNAなどの核酸は、細胞内に入りにくい、分解されやすいなどの性質があるため、薬として利用するためにはこの技術が必要になります。

そんな中、核酸を利用した、ある画期的なDDS医薬品が登場しました。それも、国民誰もが手が届く形で。

それが新型コロナワクチンです。

新型コロナウイルス感染症 (COVID-19) が発生してから早期に開発されたワクチン、コミナティ (ファイザー社) および スパイクバックス (モデルナ社) は、ウイルスのスパイクタンパク質の元となるメッセンジャーRNA (mRNA) を含んでおり、脂質でできたナノメートル(1 mmの百万分の一)規模の粒子 (ナノ粒子) がmRNAを守っています。この構造によって、非常に分解されやすいmRNAが細胞に入って働くことができ、免疫系にウイルスの特徴を伝えることができます。

コロナ禍で一気に身近なものとなったDDS医薬品は、これからも特効薬のない疾患や未知の感染症を克服するための武器として進化を続けることでしょう。