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作業療法士とはどんな職業?医療系志望の高校生にわかりやすく解説!

リハビリに携わる職業は、作業療法士、理学療法士、言語聴覚士などがあります。ここで解説していきたいのは、作業療法士です。「作業って何?」といったそもそもの部分はもちろん、以下7つの観点についてわかりやすく説明します。

この記事を読めば、作業療法士という職業の全貌がわかるはずです。作業療法士に興味をお持ちの方には、本記事をブックマークやお気に入りに登録し、繰り返し読んで理解を深めることをおすすめします。

作業療法士の仕事内容・役割とは?

作業療法士を一言でいうと、からだとこころのリハビリ専門職。国家資格を持っている人にしかできない仕事です。作業療法士は英語で『Occupational Therapist(オキュペイショナル・セラピスト)』といい、医療現場では頭文字をとってOTと呼ばれています。

作業って何?

作業療法の世界では、日常生活(起床、着替え、トイレ、洗面、食事、家事など)や仕事、遊び、スポーツなど、人を取り巻くすべての活動のことを【作業】と捉えています。

たとえば、病気やケガ、心の病などにより、「着替えること」「トイレに行くこと」「食べること」などの日常的な作業が突然できなくなることがあります。そんな方々の “できる” をお手伝いする仕事、それが作業療法士です。

日常生活が不自由なく送れるようになるためのリハビリにとどまらず、仕事や遊び、スポーツなどができるようになること(社会復帰の後押し)までを考えて治療・援助を行います。

例を挙げますので、イメージしてみましょう。

脳の病気により、右腕に麻痺が残ってしまった方がいたとします。右利きだったその方は、食事が思うようにできなくなりました。そんなとき作業療法士は、食べやすくするための道具(自助具)の製作や、リハビリトレーニングなどを実施します。また、脳の障がいにより、食べ方そのものがわからなくなってしまった場合には、認知機能面や精神面からアプローチすることもあります。

その人が望む作業ができるよう、からだとこころの両方に目をむけてリハビリを行うのが、作業療法士の役割なのです。

作業療法士の仕事内容について、より詳しく知りたい方は、以下の記事をご覧ください。

作業療法士の活躍場所・勤務先は?

作業療法士の就職先は、「どの領域で働くか」によって決まります。領域は4つに大別されます。

身体障がい領域

勤務先
総合病院、大学病院、クリニック、整形外科、リハビリテーションセンター、障害福祉サービス事業者、身体障がい者福祉センター など

対象患者
病気やケガ、事故の後遺症などで身体に障がいが残った方

精神障がい領域

勤務先
精神科病院、メンタルクリニック、精神科デイケア、精神保健福祉センター、精神障がい者支援センター など

対象患者
こころの病気(統合失調症、うつ病など)や認知症の方

老年期障がい領域

勤務先
リハビリテーションセンター、老人保健施設、在宅介護支援センター、特別養護老人ホーム、老人デイサービスセンター、訪問看護ステーション、訪問リハビリテーション など

対象患者
加齢や認知症で認知機能や身体機能が低下したお年寄り(65歳以上)

発達障がい領域

勤務先
小児病院、発達障がい者支援センター、児童発達支援、放課後等デイサービス、母子通園施設、児童福祉施設、特別支援学校、幼稚園、保育所 など

対象患者
自閉症、知的障がい、学習障がいなどの子ども

現状では、作業療法士の半数以上が【身体障がい領域】で勤務。次いで【老年期障がい領域】【精神障がい領域】、全体の数パーセントが【発達障がい領域】で活躍しています。

作業療法士の活躍場所・勤務先について、より詳しく知りたい方は、以下の記事をご覧ください。

作業療法士と理学療法士の違いとは?

リハビリの専門職として作業療法士とよく比較されるのが、理学療法士です。ここでは、作業療法士と理学療法士の違いを解説します。

作業療法士

【からだ】や【こころ】に障がいのある方に対して、応用的動作能力や社会的適応能力の回復をサポートする。

たとえば、「服を着替える」「ハシをもつ」「風呂に入る」「家事を行う」など、日常生活における各種作業のリハビリを行う。

point「からだ」と「こころ」の双方にアプローチできる唯一のリハビリ専門職!

理学療法士

【からだ】に障がいのある方に対して、基本的動作能力の回復・維持をサポートする。

たとえば、「起き上がる」「座る」「歩く」「手を挙げる」などの基本的動作について、トレーニングや運動療法、物理療法などのリハビリを行う。

point 最近ではスポーツ選手のケガの回復・予防の分野でも注目!

作業療法士と理学療法士の違いについて、より詳しく知りたい方は、以下の記事をご覧ください。

作業療法士の給与・年収は?

作業療法士の給与
  • 平均年収:約420万円
  • 平均月収:約35万円
※出典:厚生労働省「令和3年度介護従事者処遇状況等調査結果」

作業療法士の給与を、他の職種と比較してみましょう。

職種 平均年収(概算) 平均月収
看護職員(看護師) 443万円 36万9210円
介護支援専門員(ケアマネージャー)
424万円 35万3560円
理学療法士・作業療法士・言語聴覚士 420万円 35万0080円
生活相談員・支援相談員 406万円 33万8370円
介護職員 379万円 31万6610円
管理栄養士・栄養士 373万円 31万1190円
事務職員 362万円 30万1940円
調理員 311万円 25万9270円
※出典:厚生労働省「令和3年度介護従事者処遇状況等調査結果」
 

参考までに、薬剤師の平均年収は、565万円(※1)。国内の民間企業に勤める正社員(いわゆるサラリーマン)の平均年収は、433万円(※2)という統計結果が出ています。

※1 出典:厚生労働省「令和2年賃金構造基本統計調査」
※2 出典:国税庁「令和2年分 民間給与実態統計調査」

作業療法士の給与について、より詳しく知りたい方は、以下の記事をご覧ください。

作業療法士の将来性は?

ここまで解説を進めてきた作業療法士ですが、その将来性はどうなのでしょうか。

結論からいうと、作業療法士は非常に将来性の豊かな職業といえそうです。「求人がない」「働き先がない」…なんてこともなく、資格を持っていれば今後も引く手あまたの存在となるでしょう。

将来性を表す指標として、以下をご覧ください。

出典:「日本におけるコンピューター化と仕事の未来」/野村総合研究所、マイケル A. オズボーン、カール・ベネディクト・フレイ

AI技術やロボットの進化により、今後なくなる仕事があると言われていますが、作業療法士の自動化可能性はわずか0.1%にすぎません。「なくならない仕事」といっても過言ではないのです。

そうした観点からも、医療先進国であるアメリカやヨーロッパにおいて作業療法士は、社会的地位の高い職業のひとつに数えられています。そう遠くない将来、日本でも“憧れの職業”になる可能性が高いといえるでしょう。

作業療法士=将来が明るいといわれている理由は、大きく2つ。今後しばらく続く高齢化社会と、ストレス社会を起因としてメンタル面に不安を抱えた患者の増加が背景にあります。

リハビリは専門知識・技術を駆使して、“人の手”によって行われるものです。メンタルケアや人に寄り添う支援は、AIやロボットにはできません。身体的なリハビリだけでなく、精神的なケアまで行える作業療法士の強みは、ここにあります。

作業療法士の将来性について、より詳しく知りたい方は、以下の記事をご覧ください。

作業療法士の“なり方”とは?

作業療法士になるためには、作業療法士国家試験に合格する必要があります。そして国家試験の受験資格を得るためには、高校卒業後、厚生労働大臣が指定する養成施設を卒業しなければなりません。

高校卒業後の進路は、以下3つのパターンが考えられます。

作業療法士の資格を取るための国家試験とは?

ここでは、作業療法士国家試験の合格率や難易度、さらには試験時期や試験場所、試験内容までをわかりやすく解説します。

まず、直近5年の合格率は以下のとおりです。

 
直近5年の作業療法士国家試験の合格状況
  受験者数 合格者数 合格率
2022年(第57回) 5,723人 4,608人 80.5%
2021年(第56回) 5,549人 4,510人 81.3%
2020年(第55回) 6,352人 5,548人 87.3%
2019年(第54回) 6,358人 4,531人 71.3%
2018年(第53回) 6,164人 4,700人 76.2%
※出典:マイナビコメディカル/セラピストプラス~【速報】2022年「作業療法士国家試験」合格発表と合格率(57回)~

最近の合格率は8割を超える数値となっています。作業療法士国家試験の難易度はそれほど高いものではなく、大学・短大・専門学校といった養成施設でコツコツ勉強をすることで、比較的合格しやすい国家試験といわれています。

どちらかというと、在学中の一つひとつの授業における単位をしっかり取得して進級し、すべてのカリキュラムを修了することのほうが大変、といえるかもしれません。上位学年に進級すると、病院や介護施設などで行われる臨床実習があるのですが、「実習が一番大変だった」と話す卒業生がたくさんいます。

  

作業療法士国家試験の試験時期・場所・内容は、以下のとおり。国家試験に対する意識づけは、高校を卒業して養成施設に入学してからで遅くありませんので、参考程度にご覧ください。

試験時期 2月
試験場所
北海道、宮城、東京、愛知、大阪、香川、福岡、沖縄
(全国8ヶ所)
試験方式
マークシート方式
試験時間:2時間40分
試験内容
▽一般問題(80問)
解剖学、生理学、運動学、病理学概論、臨床心理学、リハビリテーション概論を含むリハビリテーション医学、人間発達学を含む臨床医学大要及び作業療法
▽実地問題(20問)
解剖運動学、臨床心理学、リハビリテーション医学、人間発達学を含む臨床医学大要及び作業療法

作業療法学科について詳しく知りたい方はこちら

いかがだったでしょう。作業療法士について、なんとなくのイメージを持てたのではないでしょうか。

作業療法士という職業に少しでも興味を持たれた方は、まず「作業療法学科」を有する大学・短大・専門学校などの資料請求をおすすめします。どの養成施設も各ホームページから無料で資料を請求できますので、気軽にトライしてみてください。

ちなみに、この記事を書いた医療創生大学にも作業療法学科があります。資料請求は、以下よりお気軽にどうぞ。

 

また、作業療法士についてより深く知りたい方は、【数字で見る作業療法士の仕事】 もあわせてご覧ください。

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