心理学の分野の中で、「どうしてこれが心理学なの?」と言われることが一番多いのは、知覚心理学かもしれません。この授業では、とくに視覚に関わる知覚心理学の現象を扱います。
私たちは、普段当たり前のようにものを見ているので、「見る」ということに疑問をもつことは少ないと思います。奥行きを知る、色がわかる、かたちを見る、動きを感じる…どれも、本当はとても難しいことです。そんな難しいことを題材に、「どうしてこう見えるのか」という切り口から学生が自分で考えていく。視覚心理学の知識だけではなく、考えることの楽しさも味わうことを目指して、授業を行っています。
私たちが「見ている」際に、初めに行うことが、「見るべき対象(図)」と「その背景(地)」に切り分ける、ということです。ルビンの杯(Rubin, 1915)は、高校の国語の教科書にも掲載されることがあるので、一度は見たことがあるかもしれません。
左右の領域に着目すると向かい合った2人の顔が、中央の領域に着目すると壺(花瓶・杯など)が、見えてきます。ルビンは、当初「図形の記憶」の研究を行っていました。参加者が、ルビンが思っていたことと違い領域の図形を覚えることがあったことから、単純な図形を見た際に、どこを「図」として捉えるのか、ということに興味をもち、図地分離や図地反転の研究を始めたと言われています。
一度、ある領域を「図」として捉えると、「地」の領域に目を向けることが難しくなることも知られています。皆さんが見ている世界も、地に着目すると新しい考えが浮かぶかもしれませんね。
さて、最後に。この授業を受講している学生が、「とある画像」を加工して「ルビンの杯もどき」を作ってくれました。これ、もとは何の図形だったのか、わかるでしょうか…?

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